お待たせいたしましたー!
先日このブログで、書籍「やせたいなら肛筋を鍛えなさい」の第一章「肛筋とは?その①」 として全文公開させて頂きました、今日は、その続きの「その②」を公開させていただきます! ダイエットとのつながりやストレッチのことなどしっかり説明していますので、是非、理解して頂けたら嬉しいです。
では本日は第二回目【『肛筋』とは? 第1章全文公開 その②】です。
- 肛筋はダイエットにつながる要!
肛筋は、下半身の大きな筋肉につながっています
「肛門にギュッと力を入れる」と、肛筋を使っただけで、おしり、太もも、腹筋、背筋まで使われる感覚があるはずです。その実感からもわかるように、筋肉はひとつひとつが重なり合って、全身につながっています。特定の部分を鍛えてもそこだけがムキムキになるわけではなく、そこから連動して周辺部分の筋肉も鍛えられていき、ひいては全身にいい影響が出るのです。
肛筋を鍛えることで、まずはゆがんでいる骨盤を理想的な位置(わずかな前傾姿勢)に戻します。すると、骨盤と密接につながっている、おしりの筋肉、太ももの筋肉、おなかの筋肉も連動して、正しく使える位置に戻ります。そこから軽いストレッチを加えることで、効果的に鍛えていくことができます。少ない動きで最大限の効果が出るというわけです。さらにいいことに、全身の筋肉の70~80%は、おしりから太ももにかけてついています。大きな筋肉が鍛えられると体の基礎代謝がグンと上がり、やせやすく太りにくい体質になります。また、体内の老廃物の70~80%を占める大便は、肥満や不調の元凶です。肛門に柔軟性があれば、開閉がスムーズになり、便をするっと出しやすくなります。快感を覚えるほどの排便感も、鍛えられた肛筋のなせる業です。そうです、肛筋はダイエットの原点なのです。
次に、肛筋を鍛えることで、付随して効果的に鍛えられる筋肉を紹介しましょう。
加齢がダイレクトに表れる大臀筋
肛門にギュッと力を入れたときに感じた人も多いと思いますが、肛筋が衰えている人は、ついおしりの筋肉だけを使ってしまいます。それほど、肛筋と深く連動している部位です。おしりのふくらみは、大臀筋という大きな筋肉からできており、図⑨のように、骨盤の後面から覆うように大腿骨(太ももの骨)の後面までつながっています。脚を後ろに動かしたり、直立した姿勢を取るときに最も使われる筋肉です。
クラシックバレエのレッスンでも、まず「おしりに力を入れなさい!」と言われます。当初、私は3歳。全く感覚がわかりませんでした。でも続けていくうちに、確かにおしりに力が入っていない、つまり大臀筋が発達していないと、うまくポーズが取れない、うまく動けないという感覚がわかり、その大切さを体感しました。大きくて目立つ筋肉なので、筋力が衰えてくると、加齢はもちろん、骨盤のゆがみや生活習慣がダイレクトに表れます。ズバリ、垂れて横に広がっていきます。その原因は、加齢とともに骨盤が後傾していること。骨盤が後傾していると大臀筋が使われにくくなります。歩けるのも、座れるのも、立てるのも、この筋肉のおかげ。つまり衰えてくると、その日常動作が辛くなります。骨盤を後傾させて座るのがラクな人、階段よりエスカレーターを選ぶ人、立ちっぱなしが辛い人、立つときに片足に重心をかけている人、背中の丸みやたるみを自覚している人などは要注意です。肛筋を鍛えることで骨盤を自然な前傾に戻し、効果的に大臀筋を使える状態にすると、たとえ歩いているだけでも立派なエクササイズになります。面積が大きいので、鍛えていくことで全身の筋肉に強く影響し、体質が変わっていくはずです。
美脚健脚のカギを握る内転筋
前述のとおり、骨盤を下で支える太ももの骨を大腿骨と言います。大腿骨は、体で最も大きな骨です。
骨盤と大腿骨をつなぐ太ももの筋肉は、働きによって3種類に分類されます。
- もも前面にある大腿四頭筋(図⑩)
骨盤前面や大腿骨前面からヒザのお皿(膝蓋骨)に集まり、脛骨の前面までをつないでいる。ヒザを伸ばす働きがあり、歩く・走る・蹴り上げる動きで最も使われる。
- もも後面にあるハムストリング筋(図⑪)
大腿骨後面から、ヒザの外側・内側を通って脛骨上部までをつないでいる。ヒザを曲げる働きがあり、歩く・走る動きで最も使われる。
③太もも内側にある内転筋群(図⑫)
骨盤の内側から大腿骨の後面や下内側までをつないでいる。股関節を内転させる働きがあり、太ももを内側に寄せ、太ももを閉じる動きで最も使われる。
私は、太ももの筋肉で最も注目すべきなのは、骨盤と密接につながり、下から支えている内転筋群だと思っています。バレエでは動きの美しさとともに、体の美しさも問われるので、体の外側ではなく、内側に筋肉をつけます。内側の筋肉とは、おしりを中心として、腹筋、そして内転筋群です。たとえると、コマの軸に当たる部分を鍛えるイメージですね。体幹がしっかりするので、細くしなやかな体で軽々と回って飛べるのです。私はバレエをやめてから、あることに気づきました。日常生活で使うのは、主に大腿四頭筋とハムストリング筋。内転筋群は、意識しないとほぼ使わないということです。内転筋群が衰えてきた私の脚全体はたるんで見え、ヒザの上に脂肪がのっていました。太ももの美しさのカギは、内転筋群の発達が握っていたのです。
内転筋群が衰えると骨盤が下垂するようにゆがんできます。すると体は太ももの外側でバランスを取ろうとするため、太ももの外側が太く大きくなっていきます。自覚している人も多いのではないでしょうか。ヒザを開いて座るのがラクな人、O脚の人も要注意です。
肛筋を鍛えて骨盤を正しい位置に戻すことで、使われずゆるみきっていた内転筋群も正しい位置に引き戻されるので、常にヒザをつけて座ればエクササイズ効果が生まれます。しかし日常動作だけではどうしても衰える部位なので、内転筋群を意識した軽い動作を加えることで、細く締まった太ももはもちろん、一生自分の脚で歩ける脚力もつけることができます。
ピッチリと張りつくような腹筋
腹筋というとおなかまわりだけをイメージしがちですが、実は骨盤から肋骨までと広範囲をつなぐ筋肉の集まりです。腹筋には主に上半身を前屈・側屈(横に曲げる)・回旋させる働きがあり、大切な内臓を守るため、浅層筋(アウターマッスル)と深層筋(インナーマッスル)に分かれています。
- 腹斜筋(最浅層のアウターマッスル)(図⑬)
肋骨から骨盤まで下方向へつながる。骨盤が前傾しすぎないよう安定させ、息を吐くときに胸郭を下げ、腹圧をかけて排便を助ける。ウエストのくびれに深く関わる筋肉。
②腹直筋(図⑭)
恥骨から、腹部前面にある平たく長い筋で肋骨前面まで上方向へつながる。腹圧を高める働きがあり、排便、分娩(出産)、咳や嘔吐などを助ける。
- 腹斜筋(図⑮)
骨盤から肋骨まで上方向へつながる。表面から見たときの位置や働きは外腹斜筋と同じだが、注目すべきは、外腹斜筋とは筋繊維が反対方向につながっていること。例えば腹部をひねると、お互いが逆方向に動いて、まるで雑巾を絞るかのように強い力を発揮する。
- 横筋(最深層のインナーマッスル)(図⑯)
肋骨から恥骨までの広い範囲を帯のようにキュッと覆っている。呼吸時に肋骨を引き下げたり、腹圧を高めて内臓や腰椎を安定させ、排便を助ける。体の動作には直接関与しない。
腹筋が衰えてくるとおなかがたるんできます。浅層の腹筋が衰えると、必要以上に皮下脂肪がついてたるんでくるし、インナーマッスルが衰えると、腹部の内臓が下垂してたるんできます。年齢が上がるにつれて、両方を併発しているケースも増えていきます。浅層の外腹斜筋や腹直筋は運動で鍛えられますが、体の動作には関与しないインナーマッスルも鍛えていく必要があります。
4層の腹筋はすべて骨盤とつながっているので、骨盤の位置が正しく戻ることで効果的に使えるようになります。特に、恥骨までつながる腹直筋や腹横筋は、同じく恥骨とつながる肛筋と深く連動していると考えます。腹筋の働きは上半身を前屈・側屈(横に曲げる)・回旋させることなので、日常動作のみでのエクササイズ効果は表れにくいかもしれません。意識的にその動作を加えることによって、あなたの体本来の引き締まったおなかになっていきます。
骨盤内からアプローチする腸腰筋
あまり知られていない存在ですが、実は骨盤の内側にはふたつの筋肉が通っています。
①大腰筋…脊椎から骨盤内を通り、大腿骨内側までつながる
②腸骨筋…骨盤内の腸骨内部から、大腿骨までつながる
ふたつの筋肉を総じて、腸腰筋と呼びます。P24でも説明しましたが、腸腰筋にも骨盤を正しい位置(自然な前傾)にする働きがあります。肛筋が下からだとしたら、腸腰筋は内側から、正しい位置を保とうとします。また、腸腰筋には股関節を前屈させ、太ももを上げる働きもあります。腸腰筋が衰えると、腰椎の自然なカーブがなくなり、骨盤が後傾していきます。また、太ももが上がりにくくなり、足先が地面や階段に引っかかって転びやすくなります。
肛筋を鍛えて骨盤を正しい位置に戻すと、腸腰筋も正しい位置に戻りやすくなります。ここも日常動作だけでは鍛えにくい部位なので、腸腰筋を意識した動作をプラスすることで、骨盤の内側からもアプローチすることができます。
- 肛筋は〝ストレッチ〟で鍛える
肛筋に効くのは開閉の動作
肛筋は〝ストレッチ〟で鍛えるのが一番効果的です。日常的に、収縮(力を入れて縮める)と弛緩(力を抜いて緩める)を繰り返している筋肉は、柔軟性があって可動域も広く、血液循環も良好です。加齢によって常に弛緩状態になってしまった肛筋を、意識的に収縮させる(閉じる)。肛門を開閉することによって、質のいい筋肉を育てていくのです。ちなみに、肛筋が一番緩んで開くのが、排便した直後です。このときに、意識的にキューッと締めるのも効果的なストレッチになります。簡単なので、ぜひ習慣にしてください。
正しい開閉ストレッチのコツ
前述のとおり、おしりの筋肉と肛門まわりの筋肉は違います。肛筋が衰えている人は、おしりの筋肉ばかり使ってしまって、肝心の肛筋はほとんど使われないままという可能性も。もちろん、おしりの筋肉を鍛えるのはとてもいいことなのですが、骨盤をはじめとする全身へのダイエット効果を期待するなら、肛筋を使いましょう。
肛筋を効果的にストレッチするためには、まずは肛筋を正しく締める感覚を身につけることが先決です。そのために最も効果的な方法は、ふたつあります。
ひとつ目は、肛門を閉じたら、ズバリ肛門を指で触ってみること(入浴中がおすすめです)。
ふたつ目は、おしりにペンを挟んで、ペンを落とさないよう立ってみること。
どちらもおしりを触ってみて、硬くなっている(大臀筋を使ってしまっている)ようなら、一度力を抜いて、こうイメージしてみてください。
…肛門から入ってきた糸を、背骨を通って頭頂まで、ねじりながら引っぱり上げていく…。
このイメージで、より奥深くの、肛門まわりの筋肉だけを使ってキューッと締め上げてみましょう。その感覚が、正しく肛筋を締めている感覚です。
何となく感覚がつかめたら、日常生活で「正しく肛筋を締める」時間を増やしてみてください。立っているとき、座っているとき、歩いているときに肛筋をキューッ。まずはこれだけでも、おのずと大臀筋や腹筋も使われ、骨盤が自然と前傾して姿勢がよくなる実感があるはずです。究極の〝ながらダイエット〟ですよね。この「正しく肛筋を締める」感覚は、いつまでも美しくありたいというあなたの、一生の財産になると思います。
肛筋からおしり、太もも、下腹が変わっていく
さらに、この本でご紹介しているように、ペンを挟みながら、少しかがんでみたり足ぶみしたりする単純な動作を加えていくと、まず変化がみられるのが排便だと思います。量や形、回数、言い知れぬ爽快感をぜひ感じてください。また、私の場合は、なぜか甘いものがむやみに欲しくなくなりました。骨盤が正しい位置に戻る時間が増えたせいでしょう。それによって、ぽっこりと出ていた下腹がひとまわり減って、ウエストラインにも変化が出てきます。さらに、おしりにも変化が表れます。厚い脂肪に覆われて常に冷えていたおしりが、肛筋ストレッチによって血行が促進され、冷えを感じなくなります。同時に大臀筋も育っていき、おしりのラインが上がってきます。大臀筋が育つと、脚の筋肉が必要以上に発達する必要がなくなるので、つられるように、太ももの外側ラインやふくらはぎが引き締まってきます。ハイヒールも、階段も、苦ではなくなります。すると拍車がかかるように、脚のラインが美しくなります。後傾していた骨盤が戻っていくと、背筋に自然と負荷がかかるため、背中もスッキリ。そこから、二の腕やフェイスラインなど、上半身にも変化が表れていきます。こうして体に必要な筋肉がついてくると、基礎代謝がよくなり、老廃物を出せる体になります。これまでと同じものを食べていても便で出せるし、汗はもちろん、例えば肌のシミも老廃物のひとつ。つまり、美肌や冷えとりにもつながっていくのです。ここで、数々のダイエットに失敗してきた方は思うはずです。
「効きそうなのはわかったけど、続かないから困っているのよ!」
私も数々のダイエットに挫折してきました。ですが、今はこう断言できます。
「体を動かす系のダイエットが続かない原因は、骨盤がゆがんでいることで、あなたの体に必要な筋肉が育っていないからなんです」
少しでも筋肉が育つと、筋肉からの声で自然とダイエットスイッチが入るのです。体を動かさずにはいられなくなるし、むやみにあった食欲は自然と落ちていくはずです。
⑤肛筋ストレッチは1日8秒3セット!
筋肉を育てるストレッチは、少ない時間でも毎日行うほうが効果的です。そのため、1日8秒×3セットだけでよいストレッチを考案しました。続けて行ってもいいし、3セット連続でなくても、1日のうちで合計3セットになればいいと思います。その日の体調と気分に合わせて増減させてください。紹介しているストレッチはすべて肛門を〝自然と開く〟ポーズなので、肛門は必ず意識的に閉じてください。それが〝肛筋ストレッチ〟です。また、呼吸を止めると体に負担がかかるので、リラックスしながら行うようにしましょう。つい呼吸を止めてしまう癖がある人は、歌いながら、話しながら行ってみてください。
筋肉のために、少しずつでも長く続けることが目的なので、ストレッチを行うことにストレスを感じたら、堂々とお休みしましょう。ストレスを感じる理由のひとつに、頑張って無理をしすぎてしまうことがあると思います。体はひとりひとり違いますから、あなたの体に、負荷ではなく
〝気持ちいい!〟を感じて行ってください。少し筋肉痛が出たら、成功の証です。衰えていくばかりの運命だった筋肉を、しっかり使ったよ!というサインですから。ひどい筋肉痛になる動作はないと思いますが、痛みがストレスになる場合は、落ち着くまで少しお休みしても大丈夫です。ゆっくりでも続けることが大事です。
いかがでしたでしょうか?
これで「肛筋を鍛える」といいことがたくさんあることを分かっていただけたと思いますので、是非ともペンを挟んでまずは「肛筋」チェックから始めてくださいね!!